レポート


11月22日(月)/飯田市:訪問〜高遠町

 飯田市〜高森町〜松川町〜飯島町〜駒ヶ根市〜宮田村〜伊那市〜高遠町(泊) 
 <約57q/登坂標高差約500m>


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 ツアーの三日目、最初の訪問は飯田市役所である。市役所に到着すると、市長会見室に全員入室ということでいささかみんな緊張気味だ。まずは牧野市長に「ロード・オブ・ザ・ソルト」の趣旨をご説明し、それからお預かりした塩とお茶をお渡しする。ずいぶんと高い関心を持ってくださったようで、一同とてもうれしい気持ちで市役所を後にする。続いて、飯田在住のT氏のご案内で、飯田市街をポタリングする。美術館屋上から眺めた河岸段丘上の市街の眺めに、思わず歓声を上げる。南アルプスの高い峰には新雪が望めた。古い建物が残っている仲之町や、地元の人しか知らない路地にも入り込む。桜町の駅もレトロ調でとても好ましい。

宿泊していた飯田ステーションホテルまつむらを朝8時25分に出発。
牧野飯田市長に塩を手渡す飯田市出身の石田さん。約15分の面談では自転車が大きな話題に。
市役所訪問後は、市内をポタリング。まずは飯田市美術博物館。銀杏の紅葉があまりにも美しい。
市内ポタリングのガイドは飯田市役所の田中さん。赤門の解説をしていただく。
味わいある風景と空間がいっぱいの飯田市中心部。
 

 それからT氏のお宅にちょっと立ち寄り、素晴らしい自転車のコレクションなど見せていただくとともに、特設当ガーデンカフェテラスでコーヒーブレイク。サイクリスト仲間ならではのもてなしだ。
 T氏宅を辞した私たちは、いよいよ伊那谷の塩の道、三州街道の旧道に入る。のっけから登りだが、昨日のヒョー越峠の取り付きに比べれば鼻歌気分だ。段丘の上を行く道なので、とても眺めがいい。しばらく進んだら、見つけた! 農家の軒にずらっと並んだ干し柿。有名な市田柿である。天竜川の川霧が味をおいしくすると言われている。さらに旧道を行くと、りんご畑の傍らに出る。写真を撮ろうと準備していたら、農家のおじさんが声をかけてきてくれて、なんと、りんごを幾つか下さった。自転車の旅ならではのうれしい交流なのだ。

幼稚園児に声をかけられたりして。
田中さんの自宅庭でくつろぐ参加者たち。ガレージの中にはなんとロータスヨーロッパが隠されていた。
田中さんの自宅にも立ち寄り、コーヒーをご馳走になる。“ロード・オブ・ザ・ソルト”を“カントリーロード”のメロディーにのせて唄う白鳥さん。
田中さん宅のPCでこのHPを見て「ホーッ!」と喜ぶ参加者たち。
飯田市を抜け高森町へ。
飯田市を出て松川町に向かう途中、伊東農園でりんごをたくさんいただく。美味!

 けっこうアップダウンもあるのだが、なにしろ視界が開けていて、南アルプスが望め、谷というよりまさに盆地だ。参加者の評判もたいへんいい。そのうちにぼちぼちおなかが空いてきた。時間の都合もあって、場所の選定を考えていたのだが、飯島の道の駅にお目当ての「ソースカツ丼」と「ローメン」があり、万歳! 伊那谷に来て、これを食べない手はないのだ。両方ともなかなかのおいしさであった。

伊東農園で頂いたりんごをガブリガブリと一気に食べる。
ツアー期間中、一日3本のアミノバリューを飲んで快調!
道の駅・飯島で念願のソースカツ丼をほおばる篠宮さん。
田切という独得の地形の中、雄大な山々をバックに進む。
 
 

 飯島から先は、上伊那地方となる。田切と呼ばれるいくつもの天竜川支流の川のところで、アップダウンが続く。そのひとつ中田切川を横切ったあと、わき道にそれて、以前に見つけたとてもかわいい木造の教会にみんなを案内しようとしたのだが、残念、いまはすでになくなっていた。ここまで来ると、中央アルプスの駒ヶ岳も目に入り、教会はその美しい山容を背景に十字架を浮かべていたのだが。

ワインディングロードを進む。
高台から天竜川へ向かって下り切るとそこが伊那市街地。
伊那市から高遠へ。紅葉と夕焼けが美しい。
高遠城址をゴールに最後のひとふんばり。
一日抜けた増田さんも元気に高遠城址に到着。
三日目を無事終えたところで全員ホッ!
伊東高遠町長に塩を手渡す田代さん。町長からは労いの言葉と高遠まん頭とお茶を頂く。
 

 ルートは広域農道上を行き、やがて伊那に近づく。天竜川対岸に、春近と呼ばれる美しい地名のエリアが遠く望める。私達は途中から伊那市街に向かって下り、天竜川を渡る。北遠であれほどの大峡谷を形成していた天竜川も、ここではずいぶん細い川となっていて、みんな遠くまで旅してきたことを実感せずにはいられない。
 高遠まで9kmほどをゆるやかに登り、高遠城址に至る。きつい坂を上りつめ、夕刻を迎えた高遠の町並と三峰川の眺めに一同感動である。
 高遠町役場では、伊東町長がお迎えくださり、相良の塩と掛川のお茶を受け取ってくださった。ご親切であたたかい対応に一同、疲れも吹き飛ぶ思いであった。


メンバーからひとこと

石田聖典さん(静岡県小笠町)
久しぶりに走った生まれ故郷の伊那路は、河岸段丘の上に新しい道ができ、川もまっすぐに整備されて、昔と比べ、とても楽に走れるようになっていました。でも、沿道に広がる山並みや果樹園などの風景は、今も昔のまま。子供の頃を思い出し、ふるさとのよさを再認識した1日でした。

鈴木孝弘さん(静岡県森町)
山が好きなので、今日はずっと右手ばかりを眺めて走りました。連なる南アルプスの山々は雪を頂きまさに絶景で、この景色を見られるのならば、住んでみたいと思ってしまったほどです。

大畑克彦さん(静岡県掛川市)
飯田市座光寺で一旦停止し一里塚の写真を撮っていたら、伊東農園のご主人に声を掛けてもらいました。掛川から自転車で旅していることを話すと、商品にならない傷のあるリンゴをたくさんくれました。傷があっても味はバツグン。このおいしいリンゴが売れない日本って何だろう?と考えてしまいました。

篠宮章浩さん(東京都杉並区)
飯田市は、大学時代に初めて長期ツーリングした思い出の地です。今はカミさんとなっている彼女といっしょに走ったときのすがすがしい気持ちを思い出しながら、今日も気持ちよく走りました。今日のコースでは、昨日までとはずいぶん違い、景色の広がりを感じました。昔の人も、このような風景の変化で、国が変わったことを実感したのではないでしょうか。

池田年広さん(東京都八王子市)
白鳥さんが5年ほど前に見て感動したという駒ヶ根の教会を見に行ったら、今はもう壊されて跡形もなくなっていました。先日、木沢の木造校舎が大切に保存されているのを見ただけに、とても残念な感じがしました。併設の幼稚園で美しい駒ケ岳を見ながら育っていた園児たちは、どうしているのかな?なんて、様々なことに思いを馳せました。

花島竜治さん(神奈川県横浜市)
池田さんのコメントにあるように、失われていくものもたくさんありますが、そればかりではありません。三州街道沿いで「明治の土蔵再現プロジェクト」なる看板や蔵のある家々、一里塚など歴史を語るもの、伝えていこうとする動きを見つけ、なるほど、と思いました。

山崎卓巳さん(静岡県掛川市)
今日は、これまでのコースと比べて難関と呼べる箇所があまりありませんでした。それだけに、最後の高遠城址までの急勾配では、みんながガンガンとダッシュをかけ、僕も今日一番燃えました。

白鳥和也さん(静岡県静岡市)
なんといっても飯田市の田中さんにお世話になったことが印象に残ります。やっぱり、まちの魅力は人の魅力。昨日、ヒョー越峠で待っていてくれたカワイさんご夫妻、今日出会った伊東リンゴ園さんなど、今回は、あらためて人の魅力を確認する旅になりました。

増田多喜男さん(静岡県森町)
20日に参加して一旦帰宅し、今日合流しました。20日には、塩の道なのにどうして天竜川左岸を走らないのか?と疑問に思っていましたが、今日のコースを走ってみて納得しました。天気のよさも手伝い、遠景の山並みがのびやかで明るい表情を見せていて、こちらのコースはいいなぁと、つくづく思いました。ちなみに山が好きな我が家の子供たちの名前は、南アルプスシリーズです。


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